
かれこれ4か月も経ってしまいましたが、できるだけ映画を観てすぐ抱いた感想を思い出しながら書きたいと思います。
※映画を観た時は原書
ストーリー:
ナショナル・フラッグを背負う半官半民の航空会社「国民航空(NAL)」の創立パーティから映画は始まります。奇しくもこの大祝賀会が開催されていた1985年8月12日に、国民航空ジャンボ機が御巣鷹山に墜落という航空史史上最大規模の事故が起こります。
520名もの死者を出した御巣鷹山事故の原因究明・遺族への対応問題へとストーリーが進む中、並行して国民航空社員である恩地元(おんちはじめ)氏の過去の物語も描いていきます。
恩地氏は国民航空の労働組会委員長を務め様々な労働格差を是正していきましたが、とある出来事をきっかけに委員長満期終了のタイミングでカラチ・テヘラン・ナイロビと僻地を10年間もの長い間たらいまわしにされます。
再び本社へと戻り家族と平和に過ごしながら働いている中、御巣鷹山事故は起こりました。この事故を通して、恩地氏の目を通して、事故が起こった本当の原因、会社組織の腐敗が見えてくることになります。
感想:
3時間半という長編。日本映画では26年ぶりの休憩を挟んでの公開でした。数字で見ると長いですが、実際に映画を観ると中身が凝縮されているので決して長いということはありませんでした。
私は小説を読んでいなかったから映画で初めてストーリーを追いましたが、十分に内容をつかむことができました。そのくらいしっかりとした構成がされていました。二重三重と現在・過去が並行してストーリー展開するから、映画や小説をあまり見ない人には「今、いつの何の話しをしているのか」をつかむのが難しいかもしれませんが。
たとえば「ダヴィンチ・コード
さて、御巣鷹山事故が発生したとき私は4歳になるところ。親やニュースで見聞きしたことでしか知りませんでしたが、その惨事を改めて痛感しました。また、その背景にある会社組織を知れば知るほど、どうしてこういう会社が成り立っているのかと不思議で仕方がなくなります。
同じ会社で働きながらも、異なる組合の存在があり敵対しし、会社上部もそれに加担し公に差別がおこなわれている。理解しがたいものがありました。人間の嫌な部分をたくさん見せられてしまいます。
長い間、この小説を映画化にという話はありましたが、原作者の山崎豊子さんからOKがでていませんでした。それが、2009年末というタイミングで劇場公開できることになったということも不思議な力を感じます。
他人ごとではない話しかもしれないし、きれいごとかもしれないけど、やっぱりおかしい組織は淘汰されていってほしいと思いました。
全ての人に見て考えてほしい映画です。
☆の数は…★★★★★
(5点満点、★=1、☆=0.5)
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